肝機能障害
ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎などから発展する慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓癌など、
高齢化や食生活の変化、ストレスなどによって、肝臓の慢性病が増えています。
「長くつきあう病」であり、副作用がなく、QOL(生活の質)を向上させる、
漢方薬に期待が持たれます。特に、全身の体力を回復させることが重要になってくる
高齢者や体力低下している方、長期間治療している方には漢方をおすすめします。
東洋医学でいう五臓の「肝」と西洋医学でいう「肝臓」はまったく同じものではありませんが、
多く一致しています。そのため、「肝」の治療薬の代表である柴胡(さいこ)がよく使われます。
柴胡とインターフェロンとの併用に副作用があるので禁忌とされ、注意が必要でもあります。
●比較的体力がある、自覚の少ない初期肝障害
特徴
季肋部の張り・不快感があり、口中の粘りや苦みを感じます。
便秘や腹部の圧痛、げっぷや食欲不振があることも。
方針
「肝」の機能を調節する柴胡(さいこ)を用います。
適した漢方薬
小柴胡湯(しょうさいことう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
大柴胡湯(だいさいことう)
●食欲不振や体力低下を伴う肝障害
特徴
長期間の慢性肝障害や高齢の方に多くなります。
やせて顔色が悪く、胃もたれ、吐き気、だるさなどがみられます。
方針
胃腸を賦活し、「気」や「血(けつ)」を補います。
消化機能を高めて栄養を吸収しやすくし、免疫力を高めます。
適した漢方薬
六君子等(りっくんしとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
●黄疸のみられる肝障害
特徴
白目や肌が黄色味を帯びます。
口渇、尿量減少がみられます。
方針
熱を除き、停滞した「水(すい)」を排出します。
黄疸に特効性のある因陳高(いんちんこう)を用います。
↑ いん・ちん・こうとも草かんむりがつきます
適した漢方薬
因陳高湯(いんちんこうとう)
因陳五苓散(いんちんごれいさん)