不妊症(女性)
漢方治療で、もっともケースが多く、漢方の効果が期待されているものの一つが、不妊症です。
東洋医学には、「腎(じん)」という生殖パワーの源泉を重視します。
これは西洋医学にはない概念です。
また、「血(けつ)」を豊かに、また正常に循環させるという方法を用い、効果をあげています。
現代人は、ストレス、運動不足、冷房、人工的な食事、不規則な生活など、
体本来の自然な健康が損なわれる環境におかれ、「バランスを崩している」人が大半です。
東洋医学でいう「未病(みびょう)」の体では、妊娠しにくいのは当然です。
単に臓器やホルモンを物理的に治療するのではなく、精神も含めた体全体の状態を改善して
自然に妊娠させることを考えます。体全体をトータルでみるのが、漢方の強みなのです。
●体全体の体力が落ちている体質
特徴
疲れやすく、生理不順で、生理量は多かったり少なかったりする。
めまい 、耳鳴り、腰痛などを伴うことも。
第一子出産後体力低下したり、高齢出産の場合にもありえる。
方針
生殖パワーである「腎気」を補います。
物質的な基礎である、血(けつ)を養い、精(せい)を補填します。
適した漢方薬
四物湯(しもつとう)+四君子湯(しくんしとう)
鹿茸(ろくじょう)、杜仲(とちゅう)
●体全体の体力が落ちて冷えている体質
特徴
生理は遅れがちで、量が少なく、色が薄い。
顔色が暗くて艶がない。冷え症、寒がりで、性欲も低い。
方針
生殖パワーである「腎気」を補います。
「陽」を補って、からだを温めます。
適した漢方薬
鹿茸大補湯(ろくじょうだいほとう)
八味地黄丸(はちみじおうがん)
●血の不足と滞りがある体質
特徴
生理不順、貧血傾向、顔色につやがなく、疲れやすく、足腰が冷えやすい。
肩こり、頭重、めまい、腹痛、下痢、むくみ、不眠、湿疹なども。
方針
血を補い、めぐらせます。
水の滞りを排出し、胃腸を補って体力を回復します。
適した漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
温経湯(うんけいとう)