糖尿病
糖尿病は、東洋医学では「消渇(しょうかつ)」と呼ばれ、
「多飲」「多食」「多尿」を特徴とする病気とされています。それぞれのタイプの代表処方、
および老人性の体力低下を補う処方のほか、抹消血管障害や血流障害を改善する漢方などが
用いられます。
糖尿病の進行を遅らせ、不快な身体症状を緩和してQOL(生活の質)を上げ、合併症を予防します。長期にわたる治療・服薬が必要な慢性病の代表である糖尿病に漢方薬は大変有効です。
●多飲が主のタイプ
特徴
喉が渇き、多量に水を飲み、口や舌が乾燥する。
ほてりや頻尿を伴うことも。
方針
熱を取り、水(すい)=うるおいを与えます。
適した漢方薬
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
●多食が主のタイプ
特徴
たくさん食べ、食べてもすぐ空腹になる。
おなかの張りや便秘がみられます。
高血圧やがっちりした肥満型の体質。
方針
気をめぐらせて、便を出し、熱を排出します。
適した漢方薬
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
大柴胡湯(だいさいことう)
●多尿が主のタイプ
特徴
多尿、頻尿、尿混濁がみられます。
老人に多く、体力が低下し、冷えを伴ったり、合併症が出現します。
方針
老化と泌尿器を司る「腎(じん)」を補います。
体を温め、全身の機能を亢進する「陽」の働きを促進します。
適した漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)
真武湯(しんぶとう)
●糖尿病の合併症状
糖尿病性神経炎
特徴
下肢のしびれ、冷えが著しい。
適した漢方薬
桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
糖尿病性網膜症
方針
「血(けつ)」を補い、充血や出血の症状を改善します。
適した漢方薬
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
温清飲(うんせいいん)